挫折をチャンスに変える

私の作品は、各社のコンペティション受賞作品とともに、すでに一年ほど前に雑誌などで全国に紹介されていた。その後大手企業からパビリオン設計の依頼を受けたK氏が、そっくりそのまま真似をしたに違いない。なるよ」。私は完膚なきまでに打ちのめされた。後に日本を代表することになる、尊敬すべき建築家である。芸術性と人間性は別物なのか。万博が終われば、取り壊されてしまう建築物だから、ご自身の中に湧きあがる創造力を注入するのが惜しいのか。それともその創造の泉は、三十代半ばですでに枯渇しつつあったのか?■挫折をチャンスに変える。私には、もうそれ以上、どうすることもできなかった。知的所有権という言葉自体が、そのころまだ、日本では馴染みがなかったのである。日本の建築家は、お互いを信頼し、紳士協定を結んでいるに過ぎなかった。ただただ、諦めるしかなかったのである。日本において、知的所有権は、いまでも完全に確立されているとは言い難い。私は、後進の建築家にも、それ以外の芸術家にも、その他すべての創造者にも、二度と同じ思いを味わわせたくないと思っている。もちろん、芸術家の成長過程においては、真似をするのも大切なことなのである。すべては模倣から生まれるともいわれる。しかし、それはあくまでも、憧れの先達や、尊敬する師をお手本にすることである。煉瓦造りの建築物で名高いイギリスのコンドル。

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